ハウスメーカーの方へHousing Manufacturers

日本の和室の魅力を全世界に発信するために出来ること

昔ながらの日本の伝統的な和室は、機能性、芸術性両方の面から海外から高い評価を受けています。しかし、その一方で伝統的な和室はコストや生活習慣の変化から作られなくなったり、縮小されることも増えてきました。
伝統的な和室を守るために、ハウスメーカーの方にお願いしたいことです。

「用途の縛られない部屋」としての現代の和室

現代日本では、一般家庭の住宅を和室中心に建築することは少なくなってきました。洋室中心で、和室が一室というスタイルが一般的でしょう。

それでも2017年のある調査(*)では、新築の住宅に和室が必要かどうかアンケートをとったところ、7割の人が必要だと答えました。

なぜなら、「用途の縛られない部屋」として和室を常備されている方が多いからです。和室は柔らかい畳を使っているため、同じ空間に座ったり寝たりできるという利点があります。客間として急な来客の応対や宿泊の際の際に利用すれば、すぐに座布団や布団を出して利用していただくことができます。家族部屋として、こどもの成長を見守りながら家事をしたり、お年を召してきた両親との同居の際に足腰の弱くなった両親に負担なく過ごしていただいたりもできます。

住宅の中で1部屋だけ和室ということが多いです。

洋室と違いそのまま寝転がれるのが畳の利点です。

よくある簡易な和室で良いのか

しかし、現代型の和室には価格のみを重視した畳やふすまを使われがちです。それは戸建て住宅を建設する際の「価格下げのポイント」に和室が使われやすいことが原因です。主にふすま、障子、畳で構成される和室ですが、和紙やい草でつくられるそれらは材料の価格帯も厚くピンからキリまでの品質がございます。どうしても住居を建てる際には、水回りや住宅設備など他の部分に金銭的な比重をかけがちです。だからこそ、全体のコストダウンを行う際に材料を安価にできる和室が利用されやすいのです。

もちろん、現代の企業努力の結晶である廉価なふすまや畳を否定する訳では有りません。例えば和紙で言うなら機械漉きの和紙の鳥の子は、手漉きの鳥の子と触ってもほとんど違いがわからないほどの品質でありながら、価格はかなり下げられます。

しかし、越前会は手漉きの和紙や良いい草にもっとスポットが当たるべきだと考えています。せっかく寝室としても利用価値のある部屋なのに、安価で薄い畳を使っているがためにクッション性もなく寝転がっても硬く居心地の悪いことがあります。廉価な薄い和紙を使っているために、室内の調湿機能がうまく機能せずに居心地の悪い部屋になることがあります。部屋として機能はするものの、和室本来の「心地よい部屋」からはかけ離れています。

また、伝統的な和室の建具は耐久年数が長いこともメリットの一つです。伝統的なふすまは組子はそのままに、和紙のみを張り替えて何年も使用します。廉価なふすまや畳の耐久年数が短いのに対し、伝統的なふすまや畳は耐久年数が長く長持ちします。

コロナ禍で家で過ごす時間も増えています。
家での時間を満足度の高いものにすることが今、和室に関わるそれぞれの企業に求められているのではないでしょうか。

厚い畳(55mm〜60mm)と比べて薄い畳(10mm〜15mm)には50mm程度差があります。

表面に薄いい草があり、中身には薄いベニヤ板が入っていて、クッション剤がほとんど入っていません。

これからの和室のために

住宅の一室の和室を「良い和室」にしませんか? 良質の畳とふすまを使用した真にくつろげる空間を作ることで最上級のくつろぎの部屋を一つ、もてることになります。

海外でも和室ブームが起こり、日本を訪れて実際の和室を見にくる人が増えています。そんな中で、段ボールの入った簡易的なふすまや、硬いアルミの障子、ベニヤ板の入った薄い畳の入った部屋を見せて、がっかりはされたくありませんよね。おもてなし、の心で海外からのお客様にも日本中のどこでもくつろいでいただきたいです。

そのためには消費者の方にもっと和室の良さを理解していただき、「良い和室が欲しい」と消費者の方からご依頼があるように消費者の皆様に和室の魅力を届けることが重要です。そして、その依頼があった際に実行できる環境を住宅メーカーの方にもっていていただく必要があります。昔ながらの日本の伝統、例えば越前和紙職人の方の生活や、熊本のい草農家の人々の製法と生活を守るのは、日本を代表とする住宅メーカーの責務です。

これからの和室を一緒に考えていくためにはいろんな立場の方々の協力が必要です。是非意見交換会をして、これからの和室について考えましょう。

整えられた和室の魅力は失われてはならない日本の文化です。

和室ならではの癒し、くつろぎの空間を後世に伝えましょう。